NHK障害福祉賞入賞(Shining children)メタバース就労
佳作
夢を繋げ [PDF版]
後藤 未来(26歳、埼玉県在住、脳性まひ・場面緘黙症、第1部門)
表彰式の様子
●Shining children
テクノロジーの力で医療を越える shining-children
2020年からメタバースで色んな事に挑戦してきました。
最初は、手探りでした。
するとみるみるうちに、みいちゃんができる事が増えてきました。
これまで、メタバースの中で訓練をしてきました。
この現実世界では身体が動かなくても、メタバースでは動きました。
走り回れました。
それを繰り返すうちに、脳が誤作動をおこすようになりました。
脳が現実と仮想空間の見分けがつかなくなってきました。
みいちゃんの場合、本来、現実世界では、緘動とよばれる身体が固まる症状がでるはずなのに、訓練した環境と同じような場所(みいちゃんのお菓子工房)では、固まりが緩和してきました。
みいちゃんの脳は、仮想空間でピンピン動く自分の身体を認識しだしました。
メタバースのカフェで接客ができるようになると、脳は、仮想空間と現実が混乱してきました。
それがスタートでした。メタバースは、妄想の一部なのかもしれません。
妄想は、脳に良い意味で刺激を与えます。
やってきたことは、とても簡単なこと
体を入れ変える
ということ。そんなこと、できるわけない。
これまではそうでした。でも、できるんです。裏技を使えば。
脳が混乱するくらい、もう1人の自分を作ること。
これは、私がみいちゃんに寄り添ってきた検証結果です。
現実社会では、みいちゃんは、パティシエとなることで、体を入れ変えました。
エプロンと帽子をかぶると別人になりました。
メタバースでは、誰にもなれました。体はいくつも入れ買えられました。
脳科学は奥深いです。現実にみいちゃんを実験台にして、色んなことを試してみたら、あながち間違っていないということも言えると思っています。
実際は、それだけが要因ではなく、いくつもの複合的な要素が掛け合わさっています。
でも、間違いなく、福祉とメタバースは相性が良いのです。
プロテウス効果で、脳が成長します。脳が良い意味で誤動作をします。
(プロテウス効果とは、自分のアバターの外見や特徴が、ユーザー自身の行動や心理に影響を与える現象です)
メタバース就労へ
一歩踏み出そうと思います。
自閉症は治らない。それは、医療の力では治らないかもしれない。
でも、テクノロジーの力で、体を変え、脳を混乱させる事はできると思うのです。
なにかが変わるかもしれない。
藁をもつかむ想いでやってきた事。
誰かのためになるのであれば、結果を求めず挑戦だけは、し続けようと思います。
みいちゃんのお菓子工房 代表 杉之原千里